学校で何を習ったか言えない生徒
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できない子供の典型的なパターンの一つは、「学校で何を習ったか言えない」ということだ。
「今、学校の授業は、どこまで進んだ?」と尋ねても返答がない。
なので塾に置いてある教科書を渡して開いてもらうのだが、どこだったか思い出せずに、しばらく探す有様。
勉強している生徒は、教科書を出す前に思い出して、どういう授業だったかすぐに話し出す。
だが、できない生徒は、それができない。
毎週のように同じ事を尋ねるのだが、毎週のように同じ調子になる。
こういう生徒はたいてい学校の授業を殆ど聞いておらず、覚えても居ない。
どうも授業を、スルーする癖が付いているらしい。
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授業をスルーする生徒には、「塾で既にやった」とか「もうそれは知ってる」と言って別のことをしているケースもある。
コレはコレで問題だし、授業を侮っている不遜な態度だから、良くない。
ただ勉強自体はちゃんと進んでいるので、まあ良しとしよう。
学習塾としては、生徒が良い点を取ってくれさえすれば良いわけだから。
厄介なのは、成績が悪いのに、授業をスルーしてしまう生徒だ。
これは非常にタチが悪い、というのも「授業が雑音化」してしまっているからだ。
教師による授業が雑音になってしまったら、脳はもう自動的にそれをスルーするだけだし。
普通の子供は、知らない言葉や聞き慣れない言葉にも反応する。
ところが、できない子供は反応しない。
自分に関係ないと脳が判断して、スルーするっぽい。
要するに、学校や塾の授業が「雑音化」しているわけやな。
知らない外国語の会話だとか、知らない専門用語が飛び交うような会話は、聞き取りようがなかったりする。
なので、そのうち眠くなってスルーしたりするが、できない子供の場合は、それが日常化しているらしい。
記憶の干渉? 勉強のしすぎ?
学校で、何を習ったのか思い出せないのには、別の記憶によって、その記憶を追い出してしまっている可能性もある。。
これを「記憶の干渉」と呼んだりする。
たとえば金曜日の夜に勉強しても、土日に行楽に出かけたり、部活などがあると、全部忘れたりする。
人間の脳は、一度に記憶できる量に限りがあるので、新しい記憶が来たら直前の記憶が消えてしまうのだ。
塾で予習して、次の日に学校でその内容を勉強し、また次の日に塾で復習すれば、たいていの生徒はその内容を覚えるだろう。
しかし塾で予習しても、次の日に部活や行楽で身体と頭を使って新しい記憶を得たら、果たしてどれくらい覚えておれるかは微妙だ。
特に言語学習は「毎日やる」のが一番の近道だと言うから、逆に間隔が空くと、記憶はドンドン消えていく。
ただ、記憶の干渉は、似たような情報がたくさんあると起こり易いという。
つまり詰め込み学習では記憶が混ざってしまうから、物覚えが悪い生徒の場合、覚える量を減らして、それを使う練習をした方が良い。
あるいは異なる科目の内容を毎日少しずつ勉強すると良いという。
しかし週1回の塾の授業では、そう言うことはできないから、塾講師としてはどうしようもない。
「覚えないこと」に長けた生徒
そしてさらに困ったことに、「覚える」と言う作業が、ほとんどできない子供もいる。
と言うか、「覚えない」という技術に長けているのだ。
小学校の頃、毎日家で勉強していた子供でも、覚えるのが苦手なことは多々ある。
覚えるというのは、なかなか難しい事で、覚えても覚えても覚えきれないモノだ。
だから、覚えようと思っても、思うように覚えられないってことはよくある。
私も大学受験の際に、英単語をそんなに覚えられずに何年も苦労した口だから、それはよく分かる。
ところが、できない生徒の場合、そもそも覚えよう言う意識がない。
それどころか、覚えずにスルーする技術ばかり身についていたりする。
たとえば分からないことは、誰かから教えてもらおうとするのだが、教えてもその場しのぎでしかない。
真面目な顔をして、親や教師の顔を見るが、その場しのぎの技術でしかなく、全然頭には残っていない。
授業中も、消しゴムカスを丸めて遊んだり、シャープペンシルを分解したりして、暇つぶしに余念が無い。
そう言うことを、小学校高学年あたりからずっと続けて来た結果、中学に入ったらテストで物凄い悪い点を取る。
そこで親が慌てて子供を塾に連れてくるというのが、毎年のパターンだ。
こういう生徒に、どうやって勉強をさせるか。
とにかく毎回毎回音読して、質問して答えさせるしかないが、週2時間くらいの学習では、どうしようもない。
予習させて、学校の授業が理解できるキッカケを作ろうとするのだが、「塾でやったから、学校の授業はスルー」みたいな行動に出る生徒も居るから、頭が痛い。